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隔壁間の船底全体に等分布荷重が考えられるかというと、それほど広範囲にスラミング圧は存在しない。
表5.17にセンターガーダー、サイドガーダー、船側縦桁、甲板下縦桁の実例を示す。
RR11基準(案)では船底肋板がセンターガーダーに対し固定の条件を満足するよう、その反力を前後の肋板に伝えることを条件にしている。

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表5.18に以上の計算と実艇との比較を示す。一般に実船値は要求値の2倍ないしそれ以上である。「あらかぜ」はセンターガーダーを隔壁問の梁として、等分布荷重に対しチャインで支持された肋板と変形量を等しくするように設計したものであるが、そのような計算は他の実船の例から見て、いかにも過大なものであることが分かる。
「交通航2」は荒天時に高速で大角度変針しない条件でもこの計算には不足し、ようやく安全率の範囲にカバーされる。55mの船も9mの船も肋板心距を約1mとしていることが、この計算が小形船にとって不利になる原因である。この表に示されていない「ランナバウト1」は横部材のほとんどない特殊な構造で、この計算は不適当である。
この基準はセンターガーダーの寸法決定の一つの目安と考え、小形の艇(長さ12m未満の船等)は別の考え方で決めることができる。
もう一つの考え方として、入渠時の背骨と考えれば
Z=CW(cm3
W:排水量(ton)
C:常数
とすることができる。
表5.19にC=Z/Wを示す。
先の計算で寸法の不足した「交通航2」も、横メンバーのほとんどない「ランナバウト1」も、この計算では標準的な寸法を持つことになるし、実際の使用上も問題を起こしていない。
Cが10以下のものは、ほとんどが入渠時に特に注意して取扱われる艇であるが、それでも
「魚雷艇3」は、平板竜骨の変形を伴うウェブの座屈の記録がある。

 

 

 

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